お彼岸のお墓参りに愛媛へ。祖母が亡くなってからは行く機会が減ってしまいましたが、大好きな場所です。左に見える建物には、昔は五右衛門風呂があって、一度だけ入ったことがありました。やけどするんじゃないかと怖くて、物心ついたばかりの頃なのに記憶に残っています。今思えば貴重な体験でした。
右に見える白い木はスモモ。春に愛媛を訪れることはあまりなかったので、花が咲いたのを見たのは初めてかも。
絵に描いたような日本のふるさとの景色に、穏やかな気持ちになります。
家を出るときはどしゃぶりだったのに、桜三里(三里に渡って峠に桜が植えられているのでこんな名前がついています。よい響きです)を超えてトンネルを抜けたら雨はあがっていて、昼食を済ませ外に出る頃にはこんなに素晴らしいお天気に。
こういうとき、上のヒトがきっと何か働きかけているのだと感じます。お葬式のときの空の演出もすばらしかったもの。おばあちゃん^^
家の入り口には、近くの揚神社の屋根に葺かれているのと同じ銅板を使った祠が奉られています。神社と同じ銅板だというのは、最近聞いて知ったこと。本当に素晴らしい。気が澄んでいるのは、ただ空気が奇麗なことばかりが理由ではないと感じます。
おいちゃんもおばちゃんもずいぶん年をとられましたが、築100年以上の母屋を立て替えず守ってらっしゃいます。守るというのは大変なこと。おいちゃんたちのお陰で私は美しくて一本筋の入った日本家屋とその文化を体験することができるのです。
写真には私のひいおばあさんが写っています。お茶の師範を持っていて、京都であった会に参加したときのものだとか。場所は六角堂の前だそうです。
アップにしてみました。この中にいらっしゃいます。
41歳で若くしてなくなったので、まだ女学生だった祖母が、ひいおじいさんと共に家を守っていきました。色んな人があって、今の自分につながることを感じます。この春は、父方のかなり古いルーツも明らかになりました。命って、不思議です。今ここに生きているのは、やはり、奇跡的なことなのですよね。
おいちゃんが自家製の餅米で作ったあられ!
ついた餅を木の箱に薄くのばし、3、4日して乾いたら、おいちゃんのお父さんが作った専用の鉋(かんな)を使いきり分け、棒状に切って、さらに5ミリ角くらいに切ったものを煎って作るそうです。色は黄色いのはクチナシだそう。まあ、なかなか手間がかかるんよと言っていました。本当に! そんなに手間がかかるなんて知りませんでした。私にはこんな話しが面白くて仕方ありません。
あっさりとした塩味が美味しい。
これは何だと思いますか?
おいちゃんとこの次男坊が子供の頃に学校の工作で作ったもの。計りに乗っているのはマツタケ!(笑)その頃は山でマツタケが沢山採れて、よく計りにのせて計っていたので、次男のKちゃんには当たり前の風景だったようでこんなものを作ったんですって!
面白いし、この置物、なかなか味があります^^
マツタケにまつわる話しは他にも色々聞きました。
おばちゃんが山で採ったマツタケがなければ、3人の子供を大学まで行かせることはできなかっただろうということ。母が子供の頃トラック一杯にマツタケがのせられて出荷しているのを見たこと。その頃母屋が集荷所になっていたこともあって、近所で採られたマツタケが全部集まり、そんな光景が見られたようです。また祖父は、部下を連れてマツタケの会を山で開いたこと。裏山で採れ立てのマツタケを七輪で焼いてその場で食べる会だったそう! すごい!
それから、おいちゃんたちの山に勝手に入って、マツタケを採って行く人がいて、さらに食べた弁当のゴミを捨てて行く人がいたこと。おいちゃんは一度、山でマツタケ泥棒に出くわしたことがあったこと。そのときは山の手入れをするための大きなカマを持っていて、まあ武器みたいなもんをこっちも持っとたから、「採ったもん全部ここへ置いて行け」と言って追い払ったと言っていました。
おいちゃんは、精悍な顔立ちで恰幅もいいので、カマを持っていなくてもなかなか迫力があったろうと思いますが、そんなこともあったんだ。
田舎にはのどかだけではない話しもそりゃ沢山あって、でも、マツタケの話しは初めて聞いたので、とても興味深く聞きました。
お茶とお菓子を頂いた部屋。美しいな。家が持って来たお土産のビニール袋を除けば(笑)
玄関を入ると土間があって、お茶を頂いた部屋へあがるには、腰掛けられるほどの段差があります。靴を履いたまま腰掛けてちょっと話すにはちょうどいいですが、年をとると足腰に負担があるだろうと思います。
土間の天井に何か見えますね。
これはツバメの巣の下につけた板のカバー。糞が落ちないようにつけています。でも、年をとったこともあって、最近はドアを閉めるようになって、ツバメは入れません。可哀想じゃけどな〜とおいちゃんたち。最近は巣を嫌がる人が増えたこともあって、ツバメが巣を作る場所が減ってしまってなぁと。
スズメもずいぶん減ったそう。
ひとしきりお話をして、裏の丘にあるお墓へお参りに。立派な祠に、六地蔵さんもいらっしゃいます。このお墓は、いつも風が吹き、清々しいところです。お墓が建つ西は海の方へ向いています。海まで車で1時間ほどはかかりますが、このあたりからも海が見えます。海から緩やかに傾斜して、この辺りは少し高くなっているのです。初めて海が見えたときはすごいっ!と思いました。小さい小さい船も見えたっけ。
やはり、よいところだ。
愛媛では、お墓にはシキビ(シキミ)をお供えします。岡山ではお花と一緒にお供えしますが、愛媛のお墓ではシキビのみ。
墓地にはシキビが植えられ、はさみを持って行けばすぐお供えできるようになっています。こういうことも、私には素敵に思えます。
シキビには花が咲いていました。
両親は岡山でシキビを育てていて、それを切って持って来ていました。
南には四国山脈がどーん。
愛媛のお話、長くなりましたが、昔の貴重なお話を書き留めておきたいと思い綴りました。金曜の夜に思い立ち土曜日に神戸へ。土曜の夜父が思い立って突然日曜日に愛媛へ行くと宣言。日曜日に予定が無く、久しぶりに愛媛へ行くことができました^^ そんなわけで、週末の移動距離はなかなかのものでした。
しかし、、、思い立って行動するのは血筋、、、ですかね?
帰りのインターチェンジでは岡山ではあまり見かけない桜が満開になっていました。染井吉野よりも濃いピンクで、これが愛らしかった^^
瀬戸大橋の途中にある与島のパーキングエリアは夕日スポット。愛媛から帰りにこの辺りを通る頃は夕暮れ時。今回も良い夕日です。西方浄土。合掌と何か温かな気持ちと。
まったねー。
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今日は打ち合わせに来てくださった方に嬉しいお褒めの言葉(のような言葉)を頂きました。
何だか嬉しいし、自分一人で生み出すものと同時に、人との関わりからでないと生まれないものもあると改めて感じたりもしました。
皆様、よい週末を。